大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和38年(ワ)7668号 判決 1966年4月01日

第七六六八号事件原告 第八九三二号事件被告 (以下、原告会社という。) 両国自動車販売株式会社

右代表者代表取締役 井上季芳

田島芳枝

第七六六八号事件原告 第八九三二号事件被告 (以下、原告陳という。) 陳明峯

第八九三二号事件被告(以下、被告西岡という。) 西岡明

右三名訴訟代理人弁護士 成田哲雄

被告西岡訴訟代理人弁護士 関根道一郎

第七六六八号事件被告 第八九三二号事件原告 (以下、被告会社という。) 山二産業株式会社

右代表者代表取締役 裵明九こと 山本二郎

染谷光春

第七六六八号事件被告(以下、被告裵という。) 裵明九

右両名訴訟代理人弁護士 朴宗根

主文

被告会社のために、被告西岡は別紙第一目録記載の土地についてなされた同第二目録(一)、(四)、(七)記載の所有権移転請求権保全の仮登記の本登記手続をし、原告陳及び原告会社は右本登記手続に同意せよ。

原告陳及び原告会社の請求はいずれもこれを棄却する。

訴訟費用は原告会社、原告陳及び被告西岡の負担とする。

事実

原告会社、原告陳及び被告西岡(以下、原告らという。)並びに被告会社及び被告裵(以下、被告らという。)双方の申立及び事実上の陳述は別紙要約書中当該各記載のとおりである。

≪中略≫

要約書

原告らの主張

(第七六六八号事件について)

一、被告会社は原告陳に対し、別紙第一目録記載の土地(A)、(B)(以下本件土地という。)につきなされた別紙第二目録(七)乃至(九)記載の各附記登記の抹消登記手続をせよ。

二、被告裵は原告会社のため本件土地につきなされた同第二目録(四)乃至(六)及び(十)記載の各附記登記につき昭和三八年八月一六日及び昭和三九年六月八日付法定代位弁済を登記原因とする権利移転の附記登記手続をせよ。

三、訴訟費用は被告らの連帯負担とする。

(第八九三二号事件について)

一、被告会社の請求を棄却する。

二、訴訟費用は被告会社の負担とする。

第七六六八号事件請求原因

第八九三二号事件の答弁及び主張

一、訴外大生信用組合(以下訴外組合という。)は昭和三七年二月二日訴外正福寺勇(以下正福寺という。)及び被告西岡との間において、訴外組合が正福寺に対し元本極度額を五〇〇万円として金銭を貸付ける旨の与信契約を締結したが同契約には正福寺がその負担する各債務を弁済期に履行しないときは右与信契約は終了し全債権は確定する旨の特約をし被告西岡は右貸金債権につき連帯保証し、かつ、その所有にかかる本件土地につき債権元本極度額を金五〇〇万円とする根抵当権の設定及び弁済期日に右金員の支払いがない場合には、その支払に代えて、本件土地の所有権を訴外組合に移転する旨の代物弁済の予約並びに本件土地について右債務の不履行を停止条件とする賃借権の設定(以下本件担保権という。)する旨の契約を締結し、同月九日別紙第二目録(一)乃至(三)の本登記及び仮登記を了した。訴外組合は右与信契約に基き正福寺に対し、同月二一日、金五〇〇万円を、弁済期同年五月一五日、利息は日歩三銭五厘、期限後の遅延損害金日歩七銭の約定で貸渡した。而して正福寺は延期後の弁済期である昭和三七年九月二八日に右貸金債務を弁済しなかったので全債務は確定した。

二、被告裵は昭和三八年五月二七日訴外組合から前記貸金元本金五〇〇万円の債権と本件担保権を譲受け別紙第二目録(四)乃至(六)記載の、権利移転の各附記登記をした。

被告ら主張の通知は不知。

三、その後前記(五)の附記登記について、「原因昭和三八年五月二七日確定債権額金五〇〇万円の譲渡」とあるのを錯誤を理由に「同日確定債権額金六、〇八一、五〇〇円の譲渡」と更正する別紙第二目録(十)記載の附記登記がなされた。

四、原告会社は被告西岡に対し昭和三八年六月一日金五〇万円を貸渡し、これを担保するため、本件土地に抵当権の設定を受けて、被告裵に後れる抵当権者となり、同月一二日その旨の登記をしたもので、弁済をなすについて、正当の利益を有する。

五、原告会社代表取締役井上季芳は正福寺の委託を受け債権者たる被告裵に対し、昭和三八年六月一一日、同被告の住所地において、金五〇〇万円及びこれに対する、同被告が訴外組合から譲受けた同年五月二七日から同年六月一一日までの利息又は損害金として金五〇万円合計五五〇万円を現実に提供したが、同被告が不在でこれを支払うことができず、また居合せた同被告の妻もこれを受領することを拒んだので、原告会社は同被告のため、同月一八日東京法務局に元金五〇〇万円及びこれに対する、同年五月二七日から同年六月一一日まで日歩七銭の割合による遅延損害金五六、〇〇〇円合計五、〇五六、〇〇〇円を供託した。よって被告裵の債権は消滅し、原告会社は正福寺に対して求償権を取得した。(九に対する抗弁と共通)

六、仮に被告裵が訴外組合から譲り受けたのは元本金五〇〇万円の債権だけではなく、元利及び損害金を含めた金六、〇八一、五〇〇円の債権であり、従って昭和三八年六月一日当時の債権額が金六、一三二、二五〇円であったとしても別紙第二目録(五)記載の附記登記では「同年五月二七日確定債権額金五〇〇万円の譲渡」と表示されているから、劣位の抵当権者である原告会社に対しては金五〇〇万円の限度においてのみ対抗しうるにすぎないから、原告会社のなした前記弁済の提供は有効であり、更に、その後原告会社は昭和三九年六月八日前記供託における不足額元金一、〇八一、五〇〇円(六、〇八一、五〇〇円―五、〇〇〇、〇〇〇円)及び昭和三八年五月二七日から右供託の日まで日歩七銭の割合による遅延損害金二八六、九二二円合計一、三六八、四二二円を被告裵のため供託した。

(九に対する抗弁と共通)

七、原告陳は昭和三八年六月二九日、被告西岡と同被告から、その所有の本件土地を買受ける旨契約して、その所有権を取得し、同年七月三〇日その旨の登記を経由した。

八、然るに被告会社は昭和三八年八月三日、被告裵から前記二の債権を譲り受けたものとして同月五日別紙第二目録(七)乃至(九)の権利移転の附記登記を了した。しかし前記のとおり、右債権は原告会社の弁済により既に消滅しているので被告会社は右債権及びそれに従たる担保権を取得することはできないから右各附記登記は実体関係の存在しない無効のものである。よって、原告陳は本件土地所有権に基き、無効な別紙第二目録(七)乃至(九)記載の各附記登記の抹消を求め、原告会社は弁済により被告裵に当然代位し、本件担保権を取得したので同被告に対し別紙第二目録(四)乃至(六)の各附記登記につき権利移転の附記登記を求める。

九、答弁として。

内容証明郵便の到達した事実は認め、その他の事実は争う。正福寺及び被告西岡には債務不履行はない。

一〇、答弁として。

附記登記の事実は認め、その他の事実は否認する。

一一、答弁として。

登記の事実はいずれも認めるが、その他の事実は争う。

一二、抗弁(九の請求原因に対する)及び再抗弁(九の抗弁に対する)として。

(一) 右代物弁済の予約は債権者である訴外組合が巨利を博すべく、債務者側の窮迫、無経験ないし軽卒に乗じて、当時債権額の五倍以上の価格(二七九九万円)を有する本件土地を取得する趣旨のものであるから公序良俗に反し無効である。

(二) 仮に原告会社が弁済の提供をした当時、被告裵が金六、一三二、二五〇円の債権を有していたとしても、原告会社は別紙第二目録(三)の登記の記載を信じて、債権元本金五〇〇万円及びこれに対する昭和三八年五月二七日以降の利息又は遅延損害金合計金五五〇万円を被告裵に現実に提供したのであり、従ってこの部分には不履行はなく、しかも提供した金額と実際の債権額との差は僅か六三二、二五〇円に過ぎない。従ってかかる場合この僅少の金額不足を理由に、当時の時価三六七九万円相当の本件土地につき代物弁済完結権を行使することは権利乱用として許されない。従って同被告は本件土地の所有権を取得しえない。

被告らの主張

主文同旨

一、被告会社のため、

被告西岡は別紙第二目録(一)(四)(七)記載の所有権移転請求権保全の仮登記の本登記手続をし、原告陳及び原告会社は右本登記手続について承諾せよ。

二、訴訟費用は原告らの負担とする。

第七六六八号事件の答弁及び主張

第八九三二号事件の請求原因

一、請求原因として上記第一項と同一の事実を述べた。

二、請求原因として次の点を除き上記第一項と同一の事実を述べた。

被告裵が譲り受けた債権は元本金五〇〇万円のみではなく、これに対する利息、損害金債権を含めた金六、〇八一、五〇〇円である。訴外組合は債務者正福寺に対し、昭和三八年六月六日到達の内容証明郵便で右債権譲渡の通知をした。

三、認める。

四、登記の事実のみ認め、その他の事実は不知。

五、供託の事実のみ認め、その他は否認する。

仮に原告会社がその主張の金員を現実に提供したとしても、被告裵は提供を受けた六月一一日当時、元金五〇〇万円及びこれに対する昭和三七年五月一六日から、延期後の弁済期である同年九月二八日までの日歩三銭五厘の割合による利息、翌二九日から昭和三八年六月一一日まで日歩七銭の割合による遅延損害金合計六、一三二、二五〇円の債権を有しているから金五、〇五六、〇〇〇円を提供したのみでは債務の本旨に従った弁済の提供とはいえない。

六、供託の事実は認めるがその他は争う。

原告会社は昭和三八年六月一一日当時未だ抵当権設定登記を経ていなかったから、その主張の登記の欠缺を主張する利益を有する第三者ではない。

七、所有権を取得したことは争い、その他の事実は認める。

八、附記登記の事実のみ認め、その他の事実は争う。

九、請求原因及び抗弁(七に対する。)として。

被告裵は被告西岡に対し昭和三八年六月一三日到達の内容証明郵便で、返済期までに前記貸金債務の履行がなかったことを理由として、請求原因第一項記載の代物弁済の予約完結の意思表示をし、本件土地の所有権を取得した。従って同年七月二九日原告陳が本件土地を譲り受けた当時被告西岡は本件土地に対する所有権を喪失していた。

一〇、被告会社は昭和三八年八月三日、被告裵から本件土地を買受け、その旨の別紙第二目録(七)の附記登記をした。

一一、原告陳は昭和三八年七月三〇日被告西岡より本件土地について自己名義に所有権移転登記を、また原告会社は同年六月一二日、本件土地について抵当権設定登記を、同年七月二日、賃借権設定登記をそれぞれ経由しているが、右各登記は、訴外組合の、同年二月九日受付、停止条件付所有権移転の仮登記(別紙第二目録(一))よりも後順位にあるため、同組合には対抗し得ず、従って同組合から、本件担保権を譲り受けた被告裵、同被告より本件土地を買受けた被告会社には対抗し得ない。よって被告会社は被告西岡に対し所有権に基き、本件土地についてなされた別紙目録第二(七)記載の停止条件付所有権移転の仮登記の本登記手続を求め、原告陳及び原告会社に対しては右登記手続に承諾することを求める。

一二、争う。

昭和三八年六月当時の本件土地の価値は五〇〇万円前後である。即ち本件土地の価格が原告主張のとおりであったとしても、右土地上には三〇世帯以上の者が建物を建築所有しており、しかも一ヵ月の地代が総計で僅か金数万円に過ぎない現状に照せば、かりに抵当権を実行しても、競落価格は金五〇〇万円前後しか期待できない。

なお、前記五記載のとおり、債権額は金六、一三二、二五〇円であり、これに対し原告会社が提供したのは金五、〇五六、〇〇〇円であるから、その不足額は一、〇七六、二五〇円である。

理由

一、訴外組合と正福寺及び被告西岡との間に昭和三七年二月二日訴外組合が正福寺に対し元本極度額を金五〇〇万円として金銭を貸付ける旨の与信契約を締結したこと、右与信契約には原告ら主張のような債権確定に関する特約が付されていたこと、同時にこれを担保するため、被告西岡は訴外組合に対し右貸金債権につき連帯保証し、かつ、その所有にかかる本件土地につき債権元本極度額を金五〇〇万円とする根抵当権を設定し、弁済期に右貸金が返済されないときは、その弁済に代えて本件土地の所有権を移転する旨の代物弁済の予約並びに本件土地について右債務の不履行を停止条件とする賃借権を設定する旨の契約を締結し、同月九日別紙第二目録(一)乃至(三)の登記及び仮登記を経由したこと、訴外組合が右与信契約に基いて正福寺に対し同月二一日金五〇〇万円を原告ら主張の約定で貸渡したこと、その後正福寺が右貸金を返済しなかったために特約によって与信契約が終了し債権が確定したこと、被告裵が昭和三八年五月二七日訴外組合から右貸金債権(但し債権額を除く。)及び本件担保権を譲受け別紙第二目録(四)乃至(六)記載の権利移転の各附記登記を経由したこと及びその後原告ら主張の更正登記(同目録(十二))がなされたことはいずれも当事者間に争いがなく、≪証拠省略≫によれば被告裵が譲受けた債権の額は貸付元本金五〇〇万円、これに対する昭和三七年五月一五日から同年九月二八日迄の日歩三銭五厘の割合による利息及び同月二九日から完済迄の日歩七銭の割合による遅延損害金の合計額であり、訴外組合は昭和三八年六月六日到達の内容証明郵便で債務者正福寺に対し右債権譲渡の通知をしたことが認められ、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

二、原告らの第三者の弁済に関する主張について判断する。≪証拠省略≫によれば、原告会社は被告西岡に対し昭和三八年六月一日金五〇万円を貸渡し、右貸金債権担保のために同日本件土地に抵当権の設定を受けた事実が認められ、同月一二日右の抵当権設定登記を了した事実及び訴外組合と被告西岡との間に本件土地につき代物弁済の予約が締結され、右予約上の権利が被告裵に移転した事実は当事者間に争いがない。右争いのない抵当権設定登記経由の事実からして、昭和三八年六月一一日当時原告会社において抵当権設定登記申請の準備がなされていたことが推認できるから、原告会社は、程なく対抗力ある抵当権者となる状況にあったことが認められる。してみれば原告会社は前記正福寺が被告裵に対して負担する債務の弁済につき正当の利益を有することは明らかである。しかし、本件のように、債務者の委託を受けて抵当権者に代位弁済する場合には債務者がするのと同一の債務即ち元金のほか約定利息、債務不履行によって生じた損害金全部を提供しなければ債務の本旨に従った提供ということはできず、従って、かりに原告ら主張のとおり原告会社代表取締役井上季芳が債務者正福寺に代わって昭和三八年六月一一日債権者被告裵の住所地において同被告に金五五〇万円を弁済のため現実に提供したとしても、同日現在の債務額は前記のとおり貸付元本金五〇〇万円及びこれに対する昭和三七年五月一六日から同年九月二八日までの日歩三銭五厘の割合による利息、翌二九日から右弁済の提供日である昭和三八年六月一一日迄日歩七銭の割合による遅延損害金の合計額であり、その額が金六一三万二二五〇円であることは計数上明らかであるから、右金五五〇万円の提供は債務の本旨に従った弁済の提供とならないというべきである。

原告らは被告裵が譲受けた債権額が前記のとおりであるとしても、右譲受債権額は弁済提供の当時金五〇〇万円として登記(同第二目録(五)記載)されていたから、劣位の抵当権者である原告会社に対しては被告裵は右五〇〇万円の限度においてのみ債権を主張しうるにとどまり、従って原告会社が金五五〇万円を現実に提供したのは弁済の提供として有効であると主張する。しかし代位弁済も債務者に代わって弁済するものであり、殊に本件のように第三者が債務者の委託を受けて弁済する場合には弁済すべき債務の範囲が債務者が自ら弁済する場合と異なるべき理由はないから登記簿上の表示換言すれば優先弁済権の限度の如何にかかわらず実際の全債務額によるべきものと解するのが相当であって、これと異なる原告らの主張は独自の見解で採用できない。尤も、そのような代位弁済においても第三者が登記簿上の表示を信頼し、これに表示された金額の金員を弁済のため提供した場合に、これを債務の本旨に従った提供と解する余地がないでもないが、本件においては、≪証拠省略≫を綜合すると、原告会社代表者井上季芳は被告西岡から原告らが弁済の提供をしたと主張する日時以前訴外組合から被告西岡に宛てた、貸金元本、利息及び損害金を被告裵に譲渡した旨の通知書及び被告裵から同西岡に宛てた右元利金及び損害金支払の催告書等の交付を受けている事実が認められる(≪証拠認否省略≫)ので、右事実によれば原告会社は弁済の提供をしたと主張する当時前記金五〇〇万円の登記簿上の表示に拘らず真実の債権額を了知していたことが推認できるからこの点に言及しない。従って原告会社が有効な弁済の提供をしたことを前提としてなされた原告ら主張の供託は効力を生じないというべきである。

三、次いで被告裵が被告西岡に対し昭和三八年六月一三日到達の書面で催告期間内に債務の履行がなかったことを理由に前記代物弁済の予約完結の意思表示をしたことは当事者間に争いがない。

そこで原告らの代物弁済の予約の公序良俗違反及び右予約完結権の行使が権利の濫用に該当するとの主張について判断する。鑑定人平沼薫治の鑑定の結果によると、本件代物弁済の予約がなされた昭和三七年二月二日当時の本件土地の時価は二八〇〇万円弱であることが認められるところ右時価は債権元本金五〇〇万円及び弁済期(同年五月一五日)迄の日歩三銭五厘の割合による約定利息金一四万八七五〇円合計金五一四万八七五〇円に比し約五・四倍に相当するが右予約が被告西岡の無知、軽卒若くは窮迫に乗じてなされたものであることを認めるに足りる証拠がないので、右予約が公序良俗に反するものと速断することはできない。また右予約が公序良俗に反し無効であると断定できない以上特段の事情がない本件においてはその後の昭和三八年六月一三日になされた被告裵の予約完結権の行使が権利の濫用であるということもできない。従ってこの点に関する原告らの主張は採用できない。

四、以上の次第で、被告裵は昭和三八年六月一三日代物弁済により本件土地の所有権を取得したものというべく、また、本件土地につき被告裵から被告会社のため同年八月五日受付第二五三一六号を以て同月三日譲渡を登記原因とする停止条件付所有権移転の附記登記(仮登記、別紙第二目録(七))がなされていることは当事者間に争いがないから、反証のない本件においては、被告会社が同日被告裵から本件土地を譲受けたものと推認すべきである。従って、被告会社は被告西岡に対し、本件土地につき、右仮登記の本登記手続を求める権利を有するものというべく、また、本件土地につき、原告陳のため同年七月三〇日被告西岡から所有権移転登記が、原告会社のため同年六月一二日抵当権設定登記がそれぞれ経由されていることはいずれも当事者間に争いのないところ、右登記はいずれも昭和三七年二月九日、訴外組合のためなされた所有権移転の仮登記より後順位のものであるから、訴外組合から被告裵を経て仮登記上の権利を承継した被告会社に対抗できず、被告会社が前記本登記手続をなすにつき、登記簿上利害関係を有する第三者として原告陳及び原告会社はこれに同意する義務がある。

五、以上のとおりで、原告らの本訴請求はいずれも失当であるから、これを棄却し、被告らの本訴請求はすべて理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九三条第一項本文を適用し主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石田実 裁判官 宮崎啓一 松井賢徳)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例